Masuk電話を切ってから三十分ほどが経った頃、雨はすでに上がっていた。
氷室メディカルセンターの入り口で、腕を組んで待つ雪臣の瞳が、鈍い光を帯びる。
外来の受付時刻はとうに過ぎていたが、雪臣が事情を伝えて受け入れを頼むと、当直の職員たちは快く応じた。正面玄関の灯りも、自動ドアも、まだ電源を落とされてはいない。
目の前に停車したタクシーから降りてきたのは、直人と、直人の母親と、そして初めて見る二十代前半くらいの女。
電話で言っていた、田代に診察を依頼したいというのは、この女のことだろうか。
直人が女と母親を先にセンター内へ入らせた。二人の背を見送り、自動ドアが閉まると同時に、雪臣を睨みつける。
「田代とやらに、すぐ診察できるように話は通したんだろうな? 氷室雪臣」
「……お前か。彼女を放り出したのは」
「相変わらず会話ができねぇ男だな。質問に答えろ」
「タマはここへ一晩入院する。雨の中ひとりで倒れていた。僕が、連れてきた」
カツ、と小さく杖の音が鳴る。
雪臣は直人へ一歩近づき、わずかに顔を下げてその目を見据えた。
「なぜ、タマをこんな目に遭わせた」
「お前に関係ないだろうが、雪臣。珠希は、ルリカ――俺の子を孕んでいる女を突き飛ばした。自分が不妊だから、くだらない嫉妬でもしたんだろうな」
珠希が誰かを――まして妊婦を突き飛ばしたなど、にわかに信じられるはずがない。彼女自身が身ごもり、小さな命を何より大切にしていたからだ。失った直後でさえ、雪臣を気遣おうとした人間だ。
センター入口の照明を受けて、直人のゴテゴテした柄のネクタイがぬらりと光った。
雪臣の下瞼が小さく痙攣する。
「心配ではないのか」
「今日はよく喋るじゃねぇか。どうせちょっとすっ転んだだけってオチだろ。それに珠希は……あいつは一人でなんでもできる」
会話が途切れ、静けさが際立つ。コオロギの鳴き声だけがやたらはっきりと聞こえた。
小さく鼻を鳴らしてセンターへ入ろうとした直人。その腕を掴むため、雪臣は杖を取り落とした。カラン、と杖が地面を叩く。支えを失った右脚がわずかに揺らいでも、雪臣は直人から手を離さなかった。
「しつけぇな。そもそも、氷室の人間がなんで珠希を助ける必要がある。……へっ。まさか、未だに珠希を俺から奪い返したいのか、お前」
「……そういう話はしていない」
珠希は――いや、人は誰の所有物でもない。
まるで珠希を自分のもののように扱う直人の言い草に、雪臣は強い嫌悪を覚えた。
直人に手を振り払われた雪臣は、バランスを崩してその場に膝をついた。
「おいおい、失望させるな。それで氷室の後継ぎか。仮にも氷室は乾より規模もでかいんだからよ、しっかりしてくれ」
頭上から直人の冷笑が降り注ぐ。
相変わらず、後継者だの規模だの、自分の地位や所属で軽率に人間の価値を推し量る男だ。そこに中身が伴わなければ、それは本人の強さではないだろう。
落ちた杖へ手を伸ばそうとしたそのとき、白衣の女が現れ、杖を拾い上げて雪臣に肩を貸す。――医師の田代沙耶(たしろ・さや)だった。
「申し訳ない」
「いえ。こちらが、先ほどご連絡いただいた患者のご家族ですか」
田代が直人へ目線を向けると、彼は意外そうに眉を上げて、「ちゃんと話は通してたのか」と薄ら笑いを浮かべた。
「お前のためではない。ただ……子どもに罪はない」
雪臣の言葉に、直人は乾いた視線を返すだけだった。
田代はひとつにまとめた長い髪を肩の後ろへ払い、直人を見上げた。
「氷室さんからお話は伺っています。医師の田代沙耶です。本日、奥様も私が診察しました。検査の準備はできていますが、先に奥様のお顔をご覧になりますか?」
「まさか。その間にルリカになにかあったらどうする。どうせ珠希とはもう終わりだ。御託はいいから、早く診ろ」
センターの中へ進んでいく直人の背を、田代はまっすぐ睨んでいた。やがて彼女は開いていた手のひらをぎゅっと握りしめ、低い声で告げる。
「その選択を、いつか後悔しないといいですね」
その言葉が直人に届いたかは分からない。
吹き抜けた風が、雪臣と田代の髪を揺らした。直人に対する憤りは、どうやら彼女も同じらしい。直人と女の関係は知らないが、伴侶である珠希を無慈悲に扱うその価値観とは、相いれない。
「珍しいですね。ずいぶんと目が据わっていらっしゃる。怒っているんですか、氷室さん」
「いえ」
「そうですか。私は今、とても怒っていますよ」
田代が雪臣の顔を見上げる。
「……ここへ来る前に、珠希さんの様子を見に行きました。氷室さんには話して構わないと、ご本人から伺っています」
田代はそう前置きして、抑揚のない声で続けた。
「ご主人のことも相談しましたが、彼女は『子どもに罪はないから、しっかり診てあげてください』と頼んできました。ですから私は、彼女の願いを受けて診察するつもりでいます」
そっと目を伏せた田代の表情から、やるせなさがにじんでいた。
雪臣は、田代と初めて会った日のことを思い出す。産婦人科は、生まれてくる子と幸せに出会える場所――その瞬間に立ち会いたくて、この科を選んだのだと彼女は話していた。
「それから、ご主人にはまだ妊娠を打ち明けていなかったので、流産のことも口外しないでほしいと言われました。周りに心配をかけたくないそうです。……そういう人なんですね、彼女は」
田代は雪臣に会釈し、センターへ向かって歩き出した。
「ですから氷室さんも、今回の流産については、できる限り彼女の意思を尊重してあげてください」
雪臣はもつれる足で、離れていく田代の背に向かって一歩踏み出した。耳元のサファイアのピアスが、かすかに煌めく。
「タマ……いや、珠希さんに次の回診で伝えてくれ」
雪臣は一度言葉を切り、杖を握り直した。
「明日の十一時、大学近くのユイット珈琲で待っている、と」
十二月も下旬に差しかかり、HIMUROの各店舗からは、連日、売上と在庫の報告が届いていた。 三板が休暇を取っている水曜日。朝食の席で、珠希がふと言った。 「年末に向けて、今日も売場が混むかもしれないね」 珠希がピンクのマグカップに口をつけ、コーヒーをすする。つられるように、雪臣もテーブルの上から色違いのマグカップを手に取った。 「週末も近いし、忙しくなるだろう」 「日曜は、クリスマスイブだもんね」 珠希は雪臣の手元へ視線を移し、少し迷うように口を開いた。 「……雪臣くんは、二十四日も店舗を回るの?」 「いや。休みが取れた」 「えっ、本当?」 「ああ。美術館に行くつもりだ」 珠希が顔を上げた。仕事以外の予定を彼女に話したことは、あまりない。 このところ忙しく、予定を立てる余裕がなかったが、年内にようやく時間が取れた。隠すようなことでもないので、そのまま珠希に話した。 「前から見たかった絵がある」 「そうなんだ。風景画とか?」 「肖像画。展覧会の最終日が近い」 「ふふ。雪臣くん、見に行くの楽しみにしてたんだね」 「……まあ」 ほかに答えようがないのに、妙にそっけない返事になった。珠希は気にした様子もなく、どんな絵が展示されているのかを尋ねてきた。雪臣が知っている範囲で話すと、彼女は「面白そう」と頷いた。 気づけば、瀬原が迎えに来る八時が迫っていた。 このまま食器を下げて会社へ向かうつもりで、雪臣は空いた皿を重ね始めた。立ち上がって杖を手に取ったときだった。 「あ、あの、雪臣くん」 呼び止められ、皿を取ろうとした右手が止まる。 「……一緒に行ったら、だめですか」 珠希は言い終えると、わずかに視線を伏せた。 「邪魔、しないから……」 ――え? 今、彼女は確かにそう言った。聞き違いではないはずなのに、返事をするまでの間、頭の中で何度も確かめてしまう。 先日、珠希は来年の九月には離婚すると言った。それは二人で決めた約束で、雪臣も否定できなかった。 そんな関係
十二月も半ばを迎え、産休に入ってから一か月あまりが過ぎていた。 妊婦健診に訪れたルリカは、待合室のソファに腰掛け、スマートフォンを開いていた。保存したページには、先月のシカクイのブライダルフェアを紹介する記事が残っている。メインアトリウムにはINUIのジュエリーを見る客が集まり、直人は再来店の予約まで自ら受け付けたという。 当日、ルリカは会場へ行っていない。それでも、結果は直人から聞いていたし、記事の写真にも実際の人だかりが写っている。 ――直人が、ちゃんと成功させた。 画面の中の直人は、客に向かって笑っていた。ルリカは写真を拡大しかけ、指を止めた。 あの夜の直人は……こんな顔をしていなかった。 ◇ ◇ ◇ シカクイの催事が終わって間もない、十二月初旬の夜だった。 出産を控えて乾家で暮らすようになったルリカは、先に休んだ直恵に挨拶を済ませ、一人、リビングで直人の帰りを待っていた。 日付が変わる直前、玄関の鍵が乱暴に回る音がした。 ルリカが廊下へ出ると、直人が壁に片手をつき、靴を脱いでいた。白地に柄の入ったスーツは襟元が崩れ、酒の匂いが漂っている。 「直ちゃん……どうしたの。ルリカ、心配したよ」 「別に。ちょっと飲んできただけだ」 ちょっと、という量ではないと思う。 直人は顔を上げないまま、靴も揃えずに家へ上がった。 普段なら、遅くなるときは短くても連絡を寄越す。今夜はそれさえなかった。 「とにかく、お水、持ってくるね」 ルリカが台所へ向かおうとすると、直人が低い声で言った。 「おい。俺は、さっき、あのコミュ障に会った」 足が止まる。誰を指しているのか尋ねるまでもなかった。それでも、浮かんだ名前が口をついて出た。 「氷室雪臣のこと?」 「ほかに誰がいる。雪臣の野郎、珠希と一緒にいやがった。俺の顔を見た途端、珠希は逃げるみてぇに行っちまってよ。笑わせるぜ」 直人は外したネクタイを放り、吐き捨てるように笑った。ルリカはグラスに水を注ぐと、彼のあとを追ってリビングへ入った。 「雪臣と何かあった?」
十二月も半ばを迎え、珠希はデザイン部長の岸部とともに、銀座駅近くの店で開かれた小さな忘年会に出席した。 氷室百貨店の周年企画に携わる実務担当者たちが、年内の一区切りとして集まった会だ。百貨店の企画部や売場の担当者、HIMUROの販促担当に加え、デザイン部からは岸部と珠希が招かれていた。「では、皆さん。今年もお疲れさまでした!」 乾杯の音頭を取ったのは、あず実の部下にあたる、氷室百貨店の入社二年目の社員だった。あず実が料理を皿に取り分けようとすると、百貨店側の社員が手で制した。「火野部長、今日くらいは私たちに任せてくださいよ」「本当? すみません、お願いします」 あず実は笑ってグラスを手にした。隣にいた売場の担当者も、親しげに彼女へ声をかけている。 雪臣と長年仕事をしてきた人。それが、珠希の知るあず実だった。 珠希はグラスを口元へ運びながら、先日の打ち合わせを思い出していた。環愛の制作過程をパンフレットにまとめるという件だ。 ――そういえば、あのときも氷室社長とは、写真選びでずいぶん遅くまで……。 きっと、過去の仕事を振り返っていただけにすぎない。それでも、二人の会話が頭から離れなかった。「珠希さん、食事は進んでる?」 ぼんやりしていたところへ岸部に声をかけられ、珠希は慌てて箸を持った。「あ、はい。岸部部長、よかったら揚げ物、取りましょうか?」「ああ、気にしないで。妻と娘がね、生活習慣病に気をつけろって。肩身が狭くてね」 笑いながら言う岸部につられ、珠希も笑った。 そのとき、少し離れた席で、あず実が部下の話を聞きながら頷いているのが見えた。仕事の場だけでなく、こうした席でも一人ひとりの話に耳を傾ける姿から、彼女の人柄がこの場の空気の端々ににじんでいるように感じられた。+ + + 会がお開きになる頃には、二十一時を回っていた。店を出たあと、珠希は椅子の背にストールを掛けたままだったことに気づいた。「先に行っていてください。すぐ取ってきます」 HIMUROの社員に断りを入れ、店内へ引き返す。
三年前。 まだ氷室百貨店の営業部主任として、宝飾売場を担当していた頃のことだった。 閉店後の二階には、日中とは違う静けさがあった。HIMUROの店舗では展示の入れ替えが進んでおり、外した台座や空き箱が、通路の端へ寄せられている。 今回は、白い羽根を使ったレイアウトにすることが決まっていた。店長と社員が商品や什器を動かす横で、あず実は展開図を開いていた。 その日は、HIMURO MOTOMACHIの社長に就任したばかりの雪臣と、秘書の瀬原も確認に訪れていた。 「もう少し前へ。石に影が落ちています」 雪臣の言葉に、店長が台座の位置を変える。あず実も正面へ回り、見え方を確かめた。 「この位置でしたら、通路からもよく見えますね」 瀬原が確認すると、続いて雪臣が頷いた。その耳元で、小さなサファイアが光る。 ……彼がいつも着けているピアス。サファイアの深い青が印象的なそれは、長年顧客に愛されてきたHIMUROの定番シリーズだった。以前、何気なく「お洒落ですね」と声をかけたことがある。すると雪臣は、趣味で着けているのではなく、自社の商品を自ら身に着け、その魅力を示したいのだと答えた。 あず実は、その言葉をよく覚えていた。普段は口数の少ない人だ。けれど、自分たちが扱う商品への自信を、彼は毎日身に着けて示している。 仕事の確認にも、曖昧な返事はしない。自分とそう年齢も変わらないのに、ひどく真面目な人だと思っていた。 「氷室社長、瀬原さん、こちらへ」 案内すると、二人は軽く会釈をしてあず実へ続いた。 社員たちが次の展示台を整える中、雪臣は作業台の脇に用意された椅子へ腰を下ろした。杖をそばに置き、瀬原から受け取った資料に目を通す。 あず実も手元の図面と実際の売場を見比べた。 「こちらのケースには、羽根を少なめに配置する予定です。商品同士の間隔も――」 話しながら顔を上げると、雪臣が台の上の袋を手に取っていた。 まだ開封していない、白い羽根の袋だった。 袋の両端をつかみ、彼が左右に引く。口がぴんと張り、もう一度力が加わると、端に
もう過ぎたことだ。 かつて、氷室雪臣が好きだった。 好きだったことに、していた。 * * * 「婚姻期間は一年っていう約束だから……来年の九月には離婚するんだよね。私たち」 一昨年の仕事で作った冊子を取りにデスクへ戻り、打ち合わせ室の扉の前まで来たあず実は、ノックしかけた手を止めた。 扉の向こうから、雪臣の妻――珠希の声が聞こえたからだ。 あず実は思わず息を止めた。 ――氷室社長と、珠希さんが……離婚? 一瞬、聞き間違いかと思った。 だが、もし本当なら。 一年という約束も、九月に離婚するという話も、意味は明白だった。 扉の向こうで、二人はおそらく、あず実が聞くべきではない話をしている。そう分かっていながら、立ち去ることも、扉を開けることもできなかった。 「……あぁ、そうだ」 少し間を置いて届いた雪臣の返事に、冊子を抱くあず実の指が強張る。鼓動がうるさいほど速くなった。 来年九月には、二人は夫婦ではなくなる。しかも、今決まったのではなく、あらかじめ交わしていた約束らしい。 なぜ結婚したのか。なぜ一年と決めたのか。何も分からない。ただ、雪臣は否定しなかった。 あず実は冊子の表紙に目を落とした。自分で取りに行くと言って席を外した以上、いつまでもここにはいられない。 息を吸い、扉を小さく叩く。これまでと変わらない仕事中の声を出すよう努めた。 「お待たせしました」 二人が顔を上げた。 「こちらをご覧いただけますか」 「……はい」 珠希の前で冊子を開く。紙面を押さえる彼女の左手には、先ほどと同じ指輪があった。隣では、雪臣もページに目を落としている。 夫婦で作ったマリッジリング。その話を聞くため、今日は仕事として二人に来社してもらった。それだけのことだ。 ほんの数分前まで疑いもしなかった事実を、頭の中で確かめ直している自分がいた。 珠希がこちらを見たので、あず実はとっさに口元を緩めた。うまく笑えたかは分からない。
翌日、珠希は雪臣と氷室百貨店を訪れていた。 周年企画で『環愛』の制作背景を紹介したいので、二人から話を聞かせてほしい。そんな依頼が、百貨店の企画部から届いていたのだ。 二階の宝飾フロアを歩きながら、珠希は隣にいる雪臣の袖口を見た。 ――もうちょっとだけ、一緒に。 昨夜、自分から雪臣を引き止めたことを、ふと思い出してしまう。彼は今、いつもの顔で前を向いている。珠希も、持参したデザイン画の入ったファイルを抱え直した。 「氷室社長、珠希さん。お待ちしておりました」 長い前髪を耳にかけながら、細身の女性が近づいてきた。氷室百貨店の企画部長、火野あず実だ。以前、展示場所を見に来た際にも、商品の意図や照明について的確に確認してくれた人だった。 「本日はお忙しいところ、ありがとうございます。三十分ほど、お時間をいただければと思います」 案内された打ち合わせ室で、珠希は雪臣と並んで座った。あず実が向かいの席でノートを開く。 「今回は、商品の特徴だけでなく、環愛が誕生するまでの背景も、お客様にお伝えしたいと考えています。以前、HIMUROの工房をご紹介した特集記事のような形をイメージしています」 「あぁ、二年前のものですか」 雪臣が尋ねると、あず実は頷いた。 「はい。そういえばあのときも、氷室社長とは写真選びでずいぶん遅くまで……」 「ぎりぎりまで差し替えていましたね」 「氷室社長が、一からやり直したいとおっしゃったときは、少し驚きました」 あず実が懐かしそうに笑う。雪臣も、何のことかすぐに分かったようだった。 「申し訳ない」 「いえいえ。おかげさまで売場でも好評でした。写真を見せながら、お客様に作りの違いを説明できるようになったと。今でも活用しているんですよ?」 「いや。火野さんの説明文が分かりやすかった」 「そこは、何度も書き直しましたから」 あず実はそう答えてから、珠希へ顔を向けた。 「一昨年、うちの企画で、HIMUROの職人さんにお話を伺いまして。作業中のお写真も撮らせていただいて、フリー冊子にまとめたんです」 「そうだったんですね。私も見てみたいです」 「あとでお持ちしますね。手元がよく見える写真なので、面白いと思います」 「ありがとうございます」 珠希は頷き、隣の雪臣を見た。 きっと、一昨年の特集







